がん発症のメカニズムを裏付けたのは、およそ100年前です。当時の東京帝大(東京大学)医学部教授に就任した、山際勝三郎博士が行った「ウサギの耳の実験」でした。耳に傷を付けたウサギに150日も繰り返しコールタール(化学物質)を接触させる実験で、傷の周辺にがんが形成されました。山極博士のこの実験は世界で初めて、化学物質の継続的な接触が原因となって、がんが形成されることを立証して高い評価を受けました。
加工食品や冷凍食品がスーパーマーケットに氾濫しだしたのは、1980年ころ。腐った食材を販売しないという観点から、化学合成した防腐剤や酸化防止剤が使われるようになり、さらには、コンテナ船で赤道を超えてくる様々な野菜・フルーツにも防カビ材や防虫剤が施されるようになりました。これら化学成分が毎日のように消化器官に接触して、がんが形成。これががんの因子となって体中に広がるという可能性があるということです。