チベット産の冬虫夏草のように強靭な冬虫夏草をつくりたい
冬虫夏草(画像)とは、冬眠している昆虫に寄生して栄養を吸収しながら菌糸を育て、暖かくなると発芽して地上に姿を見せるキノコで、バッタ、セミなど昆虫の異常繁殖をくい止めてきた「天賦の備え」としても有名であるが、その優れた効果効能が注目を浴びている。
自然界にはどこにでも分布しているキノコ菌だが、チベット(中国西南部)の海抜4000m付近で採れていた冬虫夏草には、不老長生ならびに美容という高い効果効能が有ると、歴史的に秦の始皇帝や唐代の楊貴妃たちの逸話から語り継がれており、東洋医学や漢方生薬の分野でも高く評価されている。
最近では自然界のものが枯渇しており、代わって、漢方市場には人工栽培ものが氾濫しており、効能効果もピンキリだといわれるようになった。
日本における冬虫夏草の人工栽培は2004年から、私方の研究によってクオリティの高い菌株栽培がスタートしている。
強靭な冬虫夏草の人工栽培に挑む
父親を肝臓癌で失った研究者が「癌に打ち勝つ何かを求める旅」の途中で、台北迪化街の漢方薬街に立ち寄ったとき、店内は客であふれんばかりで、夢中になってテレビを観ていた。
「何をそんなに驚いてるのか?」と問うと、店の漢方医は「冬虫夏草が凄いことになっている」という。ドイツで開催されていた世界陸上競技大会で、金銀銅メダルを独占した馬軍団の話題で持ちきりなのだ。冬虫夏草がスポーツ能の上達に、素晴らしい効果効能を発揮したそうだ。
その時以来、研究者は冬虫夏草の効果に魅せられた。台湾最高峰の阿里山を手始めに、冬虫夏草で名高い地域に飛んで精力的に採取を試みた。世界最高水準の冬虫夏草を採取してきて、培養して日本で栽培。その高い効果を期待して、癌に苦しむ多くの人々に食べてもらいたいという夢を描いたのは、1993年夏だった。
チベットに育つ冬虫夏草の条件
良質の冬虫夏草が発生する地域は左画像の赤✖印チベット自治区からネパールに到る標高4000m付近です。ここはヒマラヤ山脈の麓で、5000万年前までは海の底でした。 大陸が衝突する度に隆起と火山爆発を繰り返して、現在のように、海底と地底のミネラルが混在する極めて希な土壌が形成された。その上に、 赤道直下に近いため強烈な紫外線が照射し、真夏と冬の夜間の温度差は70℃を越えるという過酷な自然。ここに繁茂する草木は極めてミネラル豊富(漢方生薬の要素)でフィトケミカル(過酷な大自然から自身を防衛するための栄養成分)を充分に備える。驚くことに、この強烈な草木を食餌として数千年も生き存えた昆虫がいる。
過酷な環境とそれに耐える植物、そしてこれを食べて育つ驚異の昆虫が冬眠で腐葉土に潜るとき、地球でもっとも強靱な菌類が待ち受けている。この菌こそ冬虫夏草で、地球に類を見ないほど強靱な効能効果を持ち合わせたキノコなのだ。
残念ながらこの冬虫夏草、ドイツで開催された世界陸上競技大会で「馬軍団」と呼ばれた中国女子陸上チームが金銀銅メダルを独占する(冬虫夏草を食べながら猛練習したと発言)という快挙を達成して以来、世界中から買い求めのオファーが殺到。乱穫(胞子を飛ばす前に収穫)がすすんで絶滅が危惧され、価格も最高水準もので1キロ当たり1000万円という高値で取り引きされていた。したがって、これが一般庶民の口に入ることはなかった。
冬虫夏草に魅せられて20年が過ぎた
右は自然界の冬虫夏草を、収穫した時の画像である。指先でつまんでいるのが昆虫のサナギで、頭の部分から3本の子実体(黄橙色)が伸びている。サナギからは無数の菌糸が周辺の腐葉土に広がっていて、さらに菌糸(右白色)は土中の瓦礫の中にまで伸びていた。
ということは1個の昆虫に寄生した冬虫夏草という菌株が、昆虫の栄養成分を吸収しながら菌糸を伸ばし、サナギの周辺の腐葉土に広がって腐葉土の栄養成分を吸収しながらさらに菌糸を伸ばし、およそ直径1メートルほどの範囲の栄養成分(昆虫+腐葉土+鉱物)を吸収し尽くして、暖かくなると子実体を設けて一気に地上に姿を現す。
最高水準の冬虫夏草を発生させたい
地球の栄養構成が植物成分・動物成分・無機成分という3界の成分で成り立っていることは、ご存じのとおりでしょう。そして3つの成分が凝集した場所から発生するのが、世界最高水準の冬虫夏草であるという仮説を立ててみた。研究者自身が自然界で目にした経験のとおりに、植物成分として漢方生薬を選択し、動物成分として自重の300倍を持ち上げるという擬黒多刺蟻エキスを採取して3界の成分による栄養豊かな培地をつくり、きわめて生育効果の強い冬虫夏草を発芽させることに成功した。
本サイト公開者は2004年に世界に先駆けて、自らが研究開発した冬虫夏草の日本における本格栽培に成功して特許権を取得、普及を開始している。以来20年にわたって日本各地に栽培地を広げ、大学や医療、研究機関に虫草菌を供給するなどの普及活動を精力的に続けている。それまで日本にはあまり馴染みのなかった冬虫夏草が17年9月、世界的権威であるアメリカの科学誌「Cell Chemical Biology」に、高い効能効果を示すという論文が掲載されて、示された抗癌特性が世界的に脚光を集めるようになっている。
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